自動車・自動運転:市場動向と採用トレンド (2022)
自動車業界の日本市場動向
自動運転『レベル3』に向けた、テクノロジーの開発
2021年以降は、自動運転に関する主要なテクノロジーの開発が自動車業界の中心でした。カメラ・レーダー・LiDAR(光センサー)などの精度向上、またどれだけ安価に市場へ普及できるか、などが主となり、さらにそれらの多様なセンサー入力に基づいてシステムが自動的に制御するコアAI機能に焦点が当てられていました。これらは自動運転技術のレベル2に相当する分野であり、2020年7月、トヨタはToyota Safety Senseを搭載したLexus Teammate を、 ホンダは2021年3月、ハンズオフ機能を搭載した Legend を発売しました。
2022年も半ばを迎え現在、日本の自動車業界における自動運転技術は、レベル2からレベル3へ移行しようとしています。
ハードウェアとソフトウェアの完全統合
これからは非常に多種多様な機能とデバイスをひとつのシステムに統合するという新たな課題に直面しています。システムの統合問題は複雑です。なぜなら、ハードウェアとソフトウェアの供給はさまざまなサプライヤーによってもたらされるからです。
このように、多種多様で複雑なハードウェアとソフトウェアの互換性を確認しひとつのシステムとして統合し自動運転技術を高めるためには、複雑かつ幅広い知識と技術が求められます。
レベル3でシステム統合されるハードウェア・ソフトウェアの例
- DMS(ドライバーモニタリングシステム)
- 照明システム
- インフォテインメント(カーナビゲーションシステムなどの経路案内機能・道路交通情報の表示といった車載システムにおける情報提供機能や、カーオーディオ・車載DVD・TVチューナーなどの娯楽要素の総称)
- コネクテッド技術であるV2X(Vehicle to Everything)& 5Gネットワークなどの他の安全機能
自動車業界:エンジニア採用の傾向(直近3年)
二分野以上に特化したエンジニアの需要拡大
上記のような自動車業界の動向を受け、自動運転技術のハードウェアとソフトウェアを統合できるエンジニアまたそのためのプロジェクトを進行できる管理職やエグゼクティブを探し採用することが急務かつ必要不可欠となっています。自動車機能安全規格 (ISO26262) やAutomotive SPICE® (ASPICE) といった安全およびサイバーセキュリティ標準に沿って、膨大な技術を統合できるシステムアーキテクトやエンジニア採用に、多くの自動運転関連企業は大変苦心しています。
しかし実情は、ハードウェアとソフトウェア両方の側面を完全に理解したエンジニアの数は大変限られている状況です。例えば、電気工学とコンピュータサイエンス両方など、2つ以上の分野に知見のある候補者は残念ながらほとんどいないのです。
自動車業界のエンジニアは、伝統的に1つの分野を専門とする傾向があります。そのため、多くの企業様は、求める知見を全て網羅する候補者採用はどんどん難しくなっています。
また、多くの企業が、同じ採用要件でシステムエンジニアを探している傾向もあります。そのため、限られた数の候補者を多くの企業様の間で取り合うような構図となり、採用競争がさらに激化しています。
このように、自動運転の世界では、現在『ハードウェアとソフトウェア両方の経験が豊富なエンジニア不足』という問題に直面しています。
自動車業界:エンジニア採用課題を解決するには
過去10年に学ぶ自動車業界のエンジニア採用課題と成功事例
過去10年間に、自動車業界ではよく似た状況が発生しました。
自動運転に欠かせないADAS機能(先進運転支援システム)の開発が飛躍的に成長するにつれ、このソフトウェア分野に強いエンジニアの大幅な不足に直面しました。ソフトウェアエンジニアの大多数はすでに市場に拡大していたエンジン管理やインフォテインメントシステムなどの分野に携わっていたため、自動車業界にとって全く新しいこの分野の開発を必要とする企業は非常に多かったにもかかわらず、実現できるエンジニアがほとんどいなかったのです。
現在の自動車業界も同様の状況です。では、成功の明暗を分けた各社の採用施策とはどのようなものだったのでしょうか?
失敗した企業:新設した採用チームにできるだけ多くのADASエンジニアを見つけるように、と指示するだけでした。十分な数のエンジニア採用に長い時間がかかり機会損失につながりました。
成功した企業:エンジニア人材をトレーニングし、将来のADASエンジニアに育てることを目的としてチームを構築しました。すでに自動車向けソフトウェアエンジニアリングの知識・経験を持つ業界内のソフトウェアエンジニア人材でなく、他業界にてカメラ・レーダー・センサーに関する経験を持つソフトウェア人材を採用しました。
自動車業界:求められる中長期的な採用・人材戦略
採用要件をもう一度精査する
このように、高度な採用技術を求められる自動運転のエンジニア採用をおこなう場合、採用課題や採用定義の見直しなどが求められます。実際のプロセスの一例は、こちらです。
初日から100%即戦力となるような候補者を探すことも大事ですが、自動運転のように全く新しい領域の技術者採用においては、現実性とビジネスアジリティを考慮した上での新しい採用戦略や組織戦略を立てることも大変有効と言えます。
自動運転技術は目まぐるしく進化しています。むしろ、従業員が数年後にあなたのビジネスを推進する人材となるようにチームを設計することも一考です。新しい技術についていくリーダーシップを取ることができる候補者様を見つけることも成功要因と言えます。このように、オクタヴィア・エグゼクティブサーチでは、各企業様の強みや事業部で抱えている課題と、実際の採用市場にいる候補者の方のスキルセットを照らし合わせ、本当に必要な人材の提案からおこないます。
オクタヴィア・エグゼクティブサーチへのお問い合わせはこちらから