ヘッドハンターが教えるダイレクトリクルーティング成功のヒント
事業会社で導入が進む「ダイレクトリクルーティング」
2000年代前半頃まで、採用といえば求人誌や求人サイトといった求人広告を専門に扱うメディアが主流でした。
しかし、リーマンショックを大きな契機とし、2008年頃から即戦力となる人材を効率的に採用するため人材紹介による採用活動が活発に。2015年頃からは、アメリカに本社を置くIT系企業を中心として、社内にTA(Talent Acquisition)チームを組織し採用活動を内製化する企業が増加。これにより、求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」という採用手法が広く認知、利用されるようになりました。
こうした背景を踏まえ、現在企業におけるダイレクトリクルーティングはインターネットを通じたスカウトサービスの利用が中心となっています。
ダイレクトリクルーティングを利用する際のポイント
(1)求人要件の明確化
まず、求める人材がどんな人物像であるかを明確にする必要があります。役職やスキル、経験など、探している候補者の要件を詳細に定義しましょう。
(2)パーソナライズしたメッセージの作成
ダイレクトリクルーティングでは、候補者に興味を持ってもらうため「その人だけに向けたメッセージ」を作成することが重要です。経歴やスキルなどに触れ、メッセージを送る理由や企業が求めている人物像にマッチしていることを伝えましょう。
(3)フォローアップと関係構築
メッセージを送信し、候補者が興味を示したら丁寧にコミュニケーションを。面談やオンライン会議を行い、興味や質問にしっかりと答え関係を築くことが重要です。また、候補者が応募した場合は担当者と連携し、スムーズな進行と円滑なコミュニケーションを確保します。
ヘッドハンターもSNSやWebサービスを活用
企業の採用担当者と同じように、ヘッドハンターもまたWebサービスを活用したスカウトも行っています。業界や採用するポジションのシニオリティ(エグゼクティブ、ミドル、ジュニアなど)によって採用の難易度も大きく変わりますが、LinkedInやビズリーチといったハイキャリアの人材が多く集まるSNSやWebサービスを活用することで、案件に応じて、効率的に候補者を見つけ出せる可能性がアップするからです。もちろん全ての候補者をWebサービスだけで探すことは困難なので、独自のサーチ手法や、業界のネットワークからのご紹介など適切な手法を使い分けています。
ダイレクトリクルーティングで広く活用されているWebサービスの使い分け
Webサービスにはそれぞれの特徴や強みがあり、求める人材に合わせて使い分けることが重要です。利用されることの多いサービスをヘッドハンターの視点でご紹介します。
ビジネス系SNS
ビジネス層のユーザーが利用するSNSを指します。
ユーザーの大半はビジネスでのコネクションやネットワーク作りを目的に利用しており、転職意欲はあまり高くない傾向があります。そのため、長期的に候補者を探す、あるいはコンタクトを取ることに向いています。
候補者を探すときに、ヘッドハンターや人材紹介会社のコンサルタントの間では「LinkedIn」や「Wantedly」というSNSがよく利用されています。
LinkedInは、アメリカでスタートしたSNSのため、ネイティブやバイリンガルなどの海外ユーザーが多く、海外登録ユーザーは8.5億人を超えています(※1)。日本人登録ユーザーは約300万人(※1)で、グローバル企業や外資系企業でのビジネス経験者や、海外駐在経験者などが利用していることが多いのが特徴です。ハーバード大学のMBAを卒業された方から伺った話では、「大学の就職課でまず初めにすることは『LinkedIn』への登録」と指導されたくらい、アメリカでは有名だそうです。 ※1: 2021年12月
また、私たちヘッドハンターの間では、外資系IT企業に所属する候補者の約70%はLinkedInを利用しているとも言われています。そのくらいIT系のグローバル人材の間では一般的なコミュニティと言えるのではないでしょうか。一方、製造業や日系企業のみのご経歴を持つ候補者の登録はIT系に比べると少ない印象です。
レジュメ登録型サービス
ユーザーが自分のレジュメ(職務経歴書)を登録して企業からのスカウトを待つWebサービスを指します。
SNSとは異なり、ユーザーの多くが転職に積極的です(私の体感としては、アクティブに転職を考え活動しているユーザーが60%くらいでしょうか)。
こちらも、ヘッドハンターなどの間では「ビズリーチ」や「リクルートダイレクトスカウト」などのWebサービスが利用されることが多いです。ビズリーチは約190万人(※2)のユーザーが登録しており、マネージャーなどとして活躍することの多いミドル層(31歳~45歳)が半数を占めているのが特徴です。この年齢層は企業での活躍が期待されることが多く、例えば30代前半のITコンサルタントなどは1カ月で100件以上のスカウトメールが届く…なんてこともあるんだそうです。
※2: 2023年1月
このように、転職を前向きに検討しており即戦力となるユーザーが多い一方で、他社との差別化がないスカウト内容になってしまうと、最終的に企業のネームバリューや提示年収などで不利になってしまうケースがあります。
スカウトメールの秘訣
では、上記のようなSNSやWebサービスを使ってスカウトメールを送る際に、どのような内容が効果的なのか、2つのポイントをヘッドハンターの視点からお伝えします。
1,なぜ、その候補者に声をかけたのかがわかる
1人1人の候補者のレジュメを読み込み、その人のどこに興味を持ったのか、具体的な経験やスキルを伝えることによって、そのスカウトが不特定多数に送られたものではなく、「自分だけに送られた」という特別感を持ってもらうことができます。
2,「その採用ポジション」ごとに異なる自社の魅力を、具体的かつシンプルに伝える
業界、職種によって候補者が魅力と感じる内容は異なります。
例えば同じ製造業でも、事業部を統括する営業部長と工場長では視点が違います。
営業部長であれば、その会社の規模や製品の魅力、競合企業との差別化ポイント、自分がマネジメントする組織の規模など。工場長の場合は、会社の成長性や製造工程の種類(連続生産、組み立てなど)、生産数、EHSの取り組み、工場組織の規模、勤務地などがポイントになります。
これらが、具体的で独自な内容であればあるほど、候補者に興味を持ってもらえることにつながります。
求める人材に合わせた効率的な採用を
ダイレクトリクルーティングと人材紹介を組み合わせて採用活動を行う企業は多く、ポジションや職種によって使い分けを行うことも。それぞれのメリット・デメリットを参考に、自社に合った採用手法を確立することをお勧めします。
ダイレクトリクルーティング
メリット | デメリット |
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人材紹介(サーチ型/ヘッドハンティング型)
メリット | デメリット |
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サーチ型/ヘッドハンティング型エージェントでの採用が効果的なケース
以下の項目に1つでも当てはまる場合は、サーチ型/ヘッドハンティング型エージェントが有効であることも。もし採用が思うように進まないときは検討をお勧めします。
- ビジネスを前進させるキーパーソンとなる人材(CxO、シニア・ミドルマネジメント層など)を確実に採用したい
- 外資系企業やスタートアップなどで、日本での知名度が低い・候補者にうまくPRできていないと感じる
- ダイレクトリクルーティングにチャレンジしたが、なかなか結果が出ない
- 少数精鋭の人事組織で、採用に多くの時間や人数を割くことが難しい
- プロの力で、確実にクロージングしてほしい
オクタヴィア・エグゼクティブサーチでは、深い業界知識と豊富な経験を併せ持つコンサルタントが丁寧なアセスメントをもとに、不可能を可能にする採用を実現します。92%以上のリピート実績を誇る当社にぜひ一度ご相談ください。